複数事業を別のスポンサーに譲渡し、かつ、一部を先行実施して事業存続を図った事例
事業再生アドバイザリープロジェクト概要
- 親会社、国内子会社9社、海外子会社12社と事業を広域に多角化。
- 海外子会社が為替変動や価格競争激化により赤字転落。親会社は、金融機関調達により赤字補填のため資金供給を継続するも、事業が好転せず親会社借入金が増大。
- 加えて、海外子会社は、海外金融機関や日本の金融機関保証による直接資金調達も実施。
- なお、金融機関調達は海外子会社の不適切経理後決算書に基づき実施されており、不適切経理の説明が必要な状況下、中小企業再生支援協議会スキームによる私的整理手続を開始。
クライアント概要
業種 | 製造業 |
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売上高 | 30億円 |
地域 | 中国地方及び海外 |
クライアントが直面していた経営上の問題
- 脆弱なガバナンス:多角化した事業の管理人材不足により、経営改善への取り組みが不十分、不適切経理による課題の先送り体質。
- 不採算事業のリストラクチャリング:更なる赤字拡大が予測される海外子会社の早期事業撤退、事業性の低い国内関連会社及び親会社の事業部門の撤退。
- 資金繰り不安:海外子会社事業撤退による退職金支払のため資産処分。
- 金融取引の安定化:海外金融機関借入の保証履行及び親会社による借入金肩代わりによる国内金融機関への借入金集約を行い私的整理手続を開始。
課題解決に向けた取り組み
- 海外決算書の不適切経理概要の説明。
- 国内子会社の分離独立サポート(計画策定支援・金融機関説明支援)
- バンクミーティングを複数回開催(1年間で8回)の上、再生の方向性に関する共通認識を醸成、都度の関係者の合意形成を経ることにより課題解決を段階的に行った。
プロジェクトゴール
- 事業性の低い海外子会社の全面撤退(持ち分譲渡、清算)によるリスク遮断。
- 国内子会社の事業継続及び雇用確保のため、親会社から分離独立(役員変更、株式譲渡、保証人変更、債権債務整理)。
- 親会社のコア事業Aを入札方式による事業の先行譲渡を行い、私的整理手続の経済合理性を確保(別除権者交渉含む)。
- 親会社のコア事業Bの事業継続及び雇用確保のため、スポンサーへ事業譲渡を行い、第二会社方式による債権放棄を実現。